寒気が再び襲ってきている
今日この頃ですが、
皆様、いかがお過ごしでしょうか…?
さて、これまで何度も通知しているので、
既にご存じだとは思いますが、
本日この日記を持って、ここでの更新を
終了とさせていただきます。
今後は、エキサイトブログのほうで
活動していきますので、
よろしくお願いします。
とはいっても、更新内容に
そんなに違いが出るわけでもありません。
ちなみに、なぜ引っ越しをするかというと、
理由は特に深いものはなく、
単純にこのタイミングで心機一転したかったからです。(笑
そういえば、アドレスを連絡していなかったので、
以下に書いておきます。


gachamukの気まぐれ


というわけで、小説の最終回を更新します。
以上、本日のgachamukでした。
それでは、どうぞ。




 一方明治は、廊下を全力疾走して、炊事場に辿り着くと、おさねさんに頼みごとをした。
「すいません。おさねさん。僕、この後用事があるので、先にお昼をいただいてもいいですか?」
 おさねさんは、事前に幸に事情を聴いていたのだろう、軽く頷いた後、お膳を運んできた。
 明治がお膳を受け取ると、おさねさんがにやりと笑いながら、明治の脇腹を肘で突いた。
「幸から聞いてますよ。一緒に買い物に行くんだって?やるじゃないですか」
 よく見ると、炊事場にいた女中全員が、作業の手を止めて、にやにやと笑いながら明治を見ていた。
「(ここもかー!)」
 明治は、内心叫びたくなるのをこらえながら、お礼もそこそこにお膳を持って、自分の部屋へと戻っていった。

 しばらくして、明治がややぐったりしながら、待ち合わせ場所に行くと、既に幸が明治を待っていた。
「ごめんなさい。待たせちゃいましたか?」
「ううん。今来たところだから大丈夫」
 そんな現代におけるデートの定番のような会話をした後、二人はそろって城下町へと歩いて行った。
 町に出た二人を出迎えたのは、野菜や魚などの食材を討っている店や、団子やおはぎなどの甘味の店、着物や簪(かんざし)などの装飾品を討っている店など、大小さまざまな店と、それを売買する商人たちだった。
「うわぁ」
 幸が感動したように目を輝かせた。普段、城から出ない彼女からすれば、いろんな店や商人が溢れる城下町は、珍しいのだろう。
 幸は、明治の手を取ると、急かすように引っ張った。
「早く行こうよ」
「わわっ」
 急に引っ張られた明治は、体勢を立て直し、幸についていった。
 それから二人は、いろんな店を見て回った。
 当初、明治が貰いすぎだと言っていた、お小遣いの一貫文も、気に入ったものを買ったり、城の皆へのお土産を買っているうちに、いつの間にか三十枚ほどが消えていた。
 やがて、夕方になり、二人で城へ戻っている最中に、幸が訊いた。
「アキ君は、自分の時代に帰っちゃうの?」
 幸のあまりにも真剣な顔に、明治も真面目に自分の気持ちを話した。
「最初はやっぱり帰りたかったです。自分が生まれて、生きてきた時代ですし。でも、最近は、違うような気がするんです。何ていうのかな、お館様や光様、鉦定さんとか幸さんとか、いろんな人と出会って、優しくされたり、怒られたりして、お館様の手伝いで忙しかったり、そういうのがすごく充実してるって思うようになったんです。変に思えるかもしれないけど、ここにきて初めて自分が生きてるって実感できたんですって、すいません、うまく言えなくて」
 明治が誤魔化すように笑いながら幸を見ると、幸は嬉しそうにしながら、首を振った。
「言いたいことは分かったから、大丈夫だよ」
 それからしばらくの間、二人は無言で歩き続けていたが、突然、明治がぽつりとつぶやいた。
「家族…」
「家族?」
 幸が思わず聞き返すと、明治は頷いた。
「もしかしたら、僕は皆を家族みたいに思っているのかもしれません。城の皆は、僕にとって大切な人たちだから。だから、帰りたくなくなってるのかもしれません」
「そっか」
 明治の考えを聞いて、幸は満面の笑みを浮かべながら走ると、くるりと明治を振り返った。
「ほら、早くしないとおいていくよ!」
「わわっ、待ってくださいよ!」
 夕日に赤く染まる空の下を、明治は慌てて幸を追いかけて行った。