古いものと新しいもの…

新しいもの。
どんなものにも染まらず、影響を受けていないもの。
まっさらなもの。
それを、時をかけて、手間をかけて。
自分の色に染めていく。
そうすることで、情を篭めていく。
そうして、時がたち、いつしか新しいものは古いものへと移り行く。
自分の使命を果たしたかのように。
いつしか、その機能さえも失われていく。
新しい世代、時代に置いて行かれていくかのように。
朽ち果て、その終焉を迎える。
そうして、人はまた新しいものを求める。
それまでのものをすっかりと記憶のかなたに追いやり。
その存在を忘れて、新しいもので満足する。
けれども、古くなってしまったものには、記憶がある。
思い出がある。
まっさらだったものに、自分の色をつけて。
ゆっくりと情を篭めた。
その手間隙にかかった時間は代えようのないもの。
どんなに、ものを新しくしても。
どんなに、それに情を篭めようとも。
同じものは決して存在し得ない。
だから、私は大切にしよう。
今までの時間を共に過ごしたものを。
これからの時間を共に過ごすものを。
そうして、得た記憶、思い出を。
それは何物にも変えがたい、素敵なものなのだから。



日本では古来より、古いものには九十九神が宿るといわれていました。
彼らは、道具などに、持ち主の情が注がれ、誕生するものです。
古いものも、新しいものも、大切にしなくてはいけませんね。
何だか、説教臭くなってしまいました。(汗