前進…

初めは気付かなかった。
それがゆっくりと前に進んでいることに。
そして、じわじわと。
彼我の距離を縮めていることに。
足音も立てず。
ひっそりと息を殺して。
気配を絶って。
ゆっくりと近付いてきた。
そして、それが違和感から。
確信に変わったとき。
彼我の距離は、僅かだった。
きっと、手を伸ばせば。
自分に簡単に触れられるだろう。
それが、とても恐怖に思えた。
だから、慌てて。
自分は必死になって、前へと進んだ。
中々前へ進めないことにヤキモキしながらも。
少しでも、それとの距離を開けるために。
少しでも、自分が安心できるように。
できるだけ早く。
できるだけ遠くへ。
必死になって進んだ。
それでも、それは付いてくる。
自分の真後ろに。
わざとらしく息をつきながら。
自分の恐怖を煽るように。
逃げる獲物をしとめるように。
凶暴な笑みを浮かべながら。



自分が前に進みたいと願うほど、中々前へ進むことができないのが世の常です。
さて、私は先日新しいキーボードを購入したのですが、結構使い勝手がいいです。
何よりも打鍵したときの感触がお気に入りです。(笑