そろそろ年の瀬で何かと忙しい
今日この頃ですが、
皆様、いかがお過ごしでしょうか…?
さて、大変です。
お金がないです。
基本的に年末というのは
どうしても物入りの季節なので、
消費が激しいです。(汗
というわけで、年末年始に
緊急のアルバイトをしようかと考えています。
いろいろと貯金もしたいので
そういう考えに至ったわけですが。(笑
そして、話しは変わりますが、
とりあえず、小説は一通り書き終わりました。
とはいえ、これから百枚近くを見直さなければ
いけないので、大変ですが。
そんなこんなで続きを更新します。
以上、本日のgachamukでした。
それでは、どうぞ。




 それからしばらくして、明治たちが城に戻り、夕食を食べ始めたころ、隆宗が唐突に話を切り出した。
「明治。明日、俺と一緒に鷹狩(たかがり)に行かないか?」
「鷹狩ですか?」
「うむ。聞けばお主、ここの所、ずっと勉強や訓練ばかりしておるそうではないか。だから、偶の気分転換にどうだ?」
「…、そういうことでしたら、お供します。」
「そうと決まれば、明日は早めに出かけるぞ。馬でしばらく走ったところに、いい鷹狩の場所があるんだ。」
「それじゃあ、今日は早く寝ないとですね。」
 そして、それまで微笑ましそうに、二人の会話を聞いていた光姫が、何故か嬉しそうに会話に参加し始めた。
「そういうことなら、明日はお弁当がいりますね。でしたら、今日のうちにおさねさんにお願いしておかなければ。」
 それを聞いて、隆宗と光姫に強引に食事の席に同席させられた幸も、何故か嬉しそうに、
「だったら、私が用意いたします。アキ君、私腕によりをかけて作るから、楽しみにしててね!」
「う、うん。楽しみにしてます。」
「そうだ!どうせなら幸。お主も一緒に来ぬか?」
「いいんですか!?わぁ、私鷹狩なんて見るの初めてです!」
 戦国時代に来て、半月が経過した明治だったが、未だにこの城の人たちのノリの良さには、時々ついていけなかった。
 もはや、ノリについていけなくなった明治は、一人もそもそと食事を再開させた。
 そんな明治を余所に、三人は会話に花を咲かせていたが、突然、幸が思い出したように手をポンと打つと、隆宗にこっそりを耳打ちをした。
「そういえば、お館様。お願いがあるんですけど…。」
「ふむ。お願いとな。」
 耳打ちする理由は不明だが、幸が明治をちらちらと見ながら、話しかけてくるところを見ると、明治に聞かれてはまずいことなのだろうと、鋭い洞察力を発揮させた隆宗は、一つ頷いて、
「では、後程、俺の部屋で聞こう。」
 と言いながら、意味ありげに幸に片目をつぶったのだった。
「?」
 何となく、自分に関係することだろうと予想はついていたが、意味不明なやり取りに、明治は肩を竦めた後、そのやり取りを聞かなかったことにすることを決めた。
 その後、食事も終わり、明治が部屋に戻ったのを確認した三人は、悪戯っぽい笑みを浮かべながら、そそくさと隆宗の部屋へ入っていった。
 最後に、隆宗が部屋の外に誰もいないことを確認して戸を閉めた後、そのまま話を始めた。
「それで?幸よ。お願いとはなんだ?」
「はい。実は、アキ君のことなんですけど…。アキ君、戦に出るのを嫌がってると思うんです。」
「ふむ。それは確かにそんな節があるな。」
 光姫も概(おおむ)ね同意しているようで、隆宗の言葉に頷いた。
「そこで、私のお願いなんですけど…。私、一度でいいからアキ君の鎧姿を見てみたいんです。だから、アキ君の鎧を用意してもらえませんか?」
 隆宗は、顎に手を当てて考え込む。
 実は、隆宗は明治の教育が一通り終わったら、戦に出てもらおうと考えていた。しかし、明治は、戦に出るのを嫌がっているため、どうしたものかと考えていたのだ。
 そこに、この幸のお願いである。これ幸いにと、明治に鎧を着せてしまえば、後はだますなりなんなりして、戦に出すこともできるだろう。
 隆宗は顔を上げると、悪戯っぽい顔をしながら、了承した。
「いいだろう。俺も、ちょうどあいつに鎧を着せたいと思っていたところだ。」
「本当ですか?」
「では、早速明日から、あいつの採寸をして、鎧を発注しよう。」
「それじゃあ、明治さんの刀も用意しないといけませんね。」
「そうだった。お光ありがとう。忘れるところだった。」
「うふふ。じゃあ、明日さっそく商人に発注しておきましょうか。」
「いや。それよりも直接城下の職人に注文したほうが早いな。ちょうど、明日は鷹狩に行く予定だし。その帰りにでも寄って、注文してこよう。」
 隆宗の提案に、二人は賛成してそのまま解散となった。
 翌日、まだ外が薄暗い夜明け寸前の時間帯に、幸が明治を起こしに来た。
「アキ君。今日は鷹狩に行く予定だよ。だから早く起きて。」
 戦国時代に来てからは、未来にいたころでは考えられないほどに早起きになった明治と言えど、さすがにこの時間に起きるのはきついようで、中々起きようとせず、挙句意味不明な言葉を口走り始めた。
「…うーん。…鷹狩、…狩り、…カリントウ、……。」
「(…ぷっぷぷぷ。)」
 目覚め直前特有の、思考回路が正常に働いていない人間の発言は、聞いていて面白いもので、その例にもれず、幸も必死に笑いをこらえて、しばらく続きを聞くことにした。
 一方、当の明治は、そんなことは露知らず、意味不明な言葉をしゃべり続けた。
「…むにゃ。…肉、…森、…森の木陰でどんじゃらほい。」
「ぶふっ!」
 ここで笑いをこらえるのも限界を迎えたらしく、とうとう幸は吹き出してしまい、そのまま爆笑してしまった。
 さすがに半分は寝ていた明治でも、すぐそばで爆笑されては、起きざるを得なかったようで、明治は顔をしかめながら、のそりと起き上がり、ゆっくりと周りを見渡した。
 やがて、未だに爆笑の余韻でぴくぴく震えている幸を見つけると、何度か瞬きをした後、
「…おはようございます。」
「ぶふっ!」
 その様子があまりにおかしかったのか、幸は再び吹き出した。
 その後、どうにか爆笑の連鎖から立ち直った幸は、大きく咳払いをして気分を入れ替え、本来の用事を済ませるため、改めて明治に向きなおった。
「おはよう。アキ君。もうすぐ鷹狩に行くから、ご飯食べて準備しよ?」
「そうか。今日は鷹狩にいくんだっけ?」
「そうそう。少し遠いところみたいだから、早く出発するんだって。」
「分かりました。」
 二人で協力して、布団を仕舞うと、明治は顔と着替えをしに、幸は朝食を取りに行った。
 やがて、二人で朝食を食べている最中、幸が先ほど明治が寝ぼけて発言した内容について聞いてきた。
「そういえば、アキ君。「どんじゃらほい」ってどういう意味?」
「?どんじゃらほい?なにそれ?」
 いくら発言した当人だからと言っても、さすがに寝ぼけていた時のことを覚えている人間は、そうはいない。
 幸は気になって仕方なかったが、本人が覚えていないのでは、聞いても意味ないだろうと思い、結局あきらめることにして、食事を再開させた。
 しばらくして、明治と幸の準備が終わり、門の近くで待機していると、同じく準備を終えた隆宗が数名の小者と鷹を連れて、明治たちのところへやってきた。
「へぇ。これが鷹狩に使う鷹ですか?」
「うむ。俺の相棒で、名前を飛(とび)爪(つめ)丸(まる)という。格好いいだろう?」
 明治は、初めて鷹を見て、しきりに感心していた。
 明治が、鷹に触ろうと、恐る恐る手を伸ばすと、鷹は鋭い目つきで明治を睨みつけ、翼を広げて威嚇した。
「うわぁっ!」
 明治は、咬まれそうになった手を慌ててひっこめた。
「あー。びっくりした。」
「はっはっは。こいつは少し気性が荒いところがあるからな。気を付けろよ。」
 そう言いつつ、隆宗は慣れた手つきで、鷹を宥めた。
 それからしばらくして、一行が鷹狩の場所に着いた頃には、既に日が高く上り、昼に近い時間になっていた。
 そこで、まずは腹ごしらえとばかりに、城の女中たちが作ってくれた弁当をその場に広げた。
 やがて、昼休憩が終わり、明治がわくわくしながら見守る中、鷹狩が始まった。
 鷹狩とはまず、一緒に連れてきた犬を放して、獲物を追い立て、タイミングを見計らって、鷹を放し、獲物を捕らえる方法だ。この時、鷹が捕えた獲物をそのまま食べないように、エサと獲物をすり替えるのがコツである。
 犬に追い立てられたウサギが、空から急降下してきた鷹に捕まる。鷹は獲物を主人の元へ持ってこないので、小者が慌てたように走って、捕えた獲物を隆宗のもとへ持ってきた。
「へぇ。見事なものですね。」
「私も鷹狩は初めて見ました。なんかすごいですね。」
 初めて鷹狩を見た明治と幸は、その豪快な狩りに感心してばかりだった。
 その後も、何度か狩りを続けて、そろそろ鷹が疲れ始めた頃合いを見計らって、
「そろそろ終わりにするか。」
 隆宗の一言で、その日の狩りは終了し、一行は城へ戻ることになった。