そこにあるもの…

それは単にそこにいた。
何をするでもなく。
ひっそりと移ろい行く世界を眺めていた。
周りはそれに見向きもしない。
まるでそれが存在していないかのように。
自分も初めは気付かなかった。
でも、世界がやさしくないと知ったとき。
それがそこにいることに気付いた。
轟々とふる雨の中で。
何をするでもなく。
悲しみに彩られた眼で。
世界を見つめていたそれ。
何がそんなに哀しいのか。
それは何を見ているのか。
知りたかった。
それから、いつもそれを見ていた。
そして、気付いた。
自分とそれは同じなのだ。
世界に希望が持てなくて。
世界がやさしくないことを知って。
絶望が心を覆い尽くした。
それは、自分と同じ眼をしていた。
だから、気付いたのだろう。
だから、気になったのだろう。
いつか、自分もそれと同じ存在になるのだろうか。
何をするでもなく、単にそこにいて。
誰にも気付かれずに。
ただ、世界を哀しく見つめる。
そんな存在に。
そう思いながらそれを見ていた。
あるとき、それは自分にささやいた。
自分はもう世界から消える。
自分と君は同じ。
だけど、君は戻ることができる。
君は取り戻すことができる。
だから、決して自分にはならないで欲しい。
そうささやいて、それは消えた。
それが与えてくれたのは何だろう。
いつか分かるときが来るのだろうか。
それの残した言葉が繰返していた。



本当に世界に絶望したとき、その眼には何が映っているのでしょうね。
さて、突然ですが、追い詰められています。(汗
仕事中に、卒業制作作成中に口から発せられていた名言が最近は復活しています。(笑
…参ったなぁ。