喰らうもの…

初めはゆっくりとしていた。
自分のペースを守って。
自分に余裕があって。
そばを慌しくかける人を見て。
自分はこうならないと思っていた。
けれども、結局自分も同じだった。
気付いたのだ。
あれの存在に。
あれは時間を喰らう。
どこまでも貪欲に。
どんどんそばまで寄ってくる。
きっと、あれは自分すらも喰らうだろう。
だから、逃げる。
そばをかけていった人たちと同じように。
追いつかれないように。
喰らわれないように。
けれども、あれはどんどん距離を縮めてくる。
ひたひたと自分を追いかける足音。
振り返れば、そこには巨大な顎。
それが全てを飲み込むように。
全てを喰らうように。
すぐそばまで迫っている。
いつしか余裕は無くなった。
ただ、生き残るために。
明日をもう一度見るために。
必死に走って逃げた。
いつでも、あれはすぐそばにいるから。
いつでも、自分を喰らおうとしているから。
自分はいつまでも走り続けなければいけない。
それでも、いつか自分はあれに喰らわれる。
痛みも悲しみも、苦しみも。
喜びも、安堵も、何も感じないまま。
あれに喰われて、世界から消える。



人は忙しくなると余裕がなくなって、周りが見えなくなります。
さて、今回の日記ですが、実は元ネタがあります。
「ランゴリアーズ」という映画です。
このランゴリアーズは、過去を喰らうモンスターです。
結構面白い映画なのでよろしければ…。(笑

ランゴリアーズ(字幕) [VHS]

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